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アニエスベーとマリック・ネジミ: 「タラ号は、アートと世界の美しさを喚起し続けるもの」

© Agnès b.

2003年以降、タラ号は海を駆け巡り環境問題や関連する問題に立ち向かってきました。科学探査の航海の中で、スクーナー船タラ号がアートの本質や目的を見失うことはありませんでした。そこで今号のタラ新聞では、タラ号プロジェクトの共同創設者でデザイナーのアニエスベーと、タラ号地中海探険プロジェクトでタラ号を拠点に活動したアーティストの1人マリック・ネジミの対談をお届けします。インタビュアーはヤミナ・ベナイです。

ヤミナ・ベナイ:アニエスベーさん、環境問題が今ほどは議論されていなかった2003年当時からあなたがタラ号プロジェクトを通じて支援している取り組みは、長年にわたり先駆者としての役割を果たされてきたあなた自身を象徴しているかのようです。実際に、1975年に初めて店舗を開設されて以来、1984年にアートギャラリー「ギャラリー デュ ジュール」を開設された時など、これまで繰り返し先駆者的な役割を果たしてこられたと思います。揺るぎない心の広さこそがあなたの経歴の特徴だと思うのですが、それはどこから来ているのでしょうか?

アニエスベー:ヒューマニストに囲まれて育ったということと関係しているのは確かです。まずは両親。音楽や芸術、文学だけでなく、どんなジャンルにおいても創造的表現や他者に対し、受容的であれと古典文化の世界を教えてくれたから。また、先生方からも影響を受けました。広範囲の文化的な見識を持っていた先生や、偏見を持たないことを教えてくれた先生、惜しみなくその知識を共有してくれた先生がいました。あとはおそらく個人的な性格も合わさっているんじゃないかしら。好奇心とか創るのが好きなこととか、いろんな世代の人たちと生きることを純粋に楽しいと思う性格とか。これらすべてのおかげで、私は自然のものも人工的なものも、この世界の美しいものをいつも意識するようになりました。だから、もっと意識を高めて次世代のために美しいものを守ることはすごく大事だと思います。タラ号は地球やアート、この世界の真の守護者であるアーティストに対する私の思いを具体化したものです。それから、素晴らしいアーティストたちとギャラリーで展開するという作業、これは、私が彼らの作品をよく理解し展示を成功させるための大事な取り組みだと思います。私たちのギャラリーで次に展示するアーティストを選ぶ、これは私の大好きな作業なのです。ギャラリー デュ ジュールとタラ号には似ている部分があります。どちらも、探して、着手して、皆さんと対話をする。だから、私たちが初めて作品を展示した画家や写真家、ビジュアルアーティストたちが後に国際的な場面で活躍したと聞くととても嬉しいですし、海のプラスチック汚染とその悪影響に焦点を合わせて最近実施した地中海科学キャンペーンで、7ヶ月間18回にわたりタラ号が寄港して実施したガイドツアーに、子どもたち4,000人を含む15,000人もの方が参加してくださったことにも興奮しています

 

Agnes B

 

ヤミナ・ベナイ:あなたは科学探査のごく初期から、セバスチャン・サルガドやピエール・ユイグ、グザヴィエ・ヴェイヤンといった数々のアーティストたちを、12週間のタラ号乗船に招待していて、個人的にタラ号地中海探険プロジェクトに招待したマリック・ネジミもその1人です。モロッコ人を父に持つフランス人アーティストのネジミは、その作品を超えてあなたの心に触れているように思えます。あなたは彼が描いているモロッコという国を40年ほど前に初めて訪れて、親しみを感じ続けてきただけでなく実際にタンジェのフィルムライブラリーのスポンサー兼後援者となって支援されてきたわけですよね。

アニエスベー:そうですね、最初は仕事でモロッコに滞在して、ピエール・ダルビーというファッションブランド向けにカサブランカで生地の染色をしました。私は工房で働いていた染色職人ユセフからいろいろなことを教わりました。それ以来、モロッコを何度も再訪し、毎回素晴らしい人との出会いや文化体験をしてきました。だから、20年ほど前にタンジェを初訪問した際に、当時アーティストのイト・バラダが進めていたフィルムライブラリーの維持をサポートすることにしたのです。映画はたくさんの観客に美的感性を伝えることができるので本当にありがたいメディアです。同じようにタラ号も寄港中、実施した研究を教育の取り組みに正確に反映することを徹底しながら、大人にも子どもにもメッセージを伝えています。

ヤミナ・ベナイ:タラ号は非常に機能的に設計されていて、船内に余分なものは何もありませんが、科学的な作業はどのように実施されてきたのでしょうか?

アニエスベー:スクーナー船タラ号のキーワードは「無駄がないこと」です。装置だけでなく、水などの運搬する消耗品についても同様です。私たちは環境保全の目的を決して見失いません。プロジェクト実施時は毎回専門のラボと提携し、研究実施やサンプル採取作業に加わる科学者を選んでもらいます。収集されたサンプルは分析するために各国のラボへ送られ、プロジェクトは毎回、学術誌の論文や講演に使われています。タラ号プロジェクトの目的は、いうまでもなく啓発活動にありますが、今後20年間の差し迫った問題への解決策を示す責任も担っています。

パートナー
  • Oceans by Disney
  • agnès b.
  • Fondation prince Albert II de Monaco
  • Serge Ferrari
  • UNESCO – IOC
  • BillerudKorsnäs
  • CNRS
  • University of Tsukuba